LUPIN ーコウモリ、コンドル、コロブスー

2011年12月月5日

 

絵だけ見て伝わらないようじゃ

その絵には力がないということ。

なんて言ったりしますが

 

絵の中の物語を知るのと知らないのとでは

やっぱり見え方が変わってくると思うし

まったく言葉がないのも不親切なのではと私は思います。

 

そこでこれから一つずつ、展示した作品の

ストーリーをお伝えしようと思います。

まずはLUPINシリーズから。

 

泥棒をテーマに絵を描きたいというところから進めたこのLUPIN。

元々は一曲の屏風に描くつもりでしたが

想像が膨らんで2画面じゃ足りず

1枚B1サイズの3連で描くことにしました。

 

豪華さを出す為に、あえて金箔に黒ベースの世界にしてみましたが

箔は純金箔ではなく、洋箔という銅と亜鉛の合金を使っています。

洋箔は金箔と違い何年も経つと焼けて黒ずんで来ます。

時間の経過と共に怪しさが増すのも、この箔を使った理由です。

純金箔を買うお金がなかったっていう理由もありますが…。

 

左のコロブスは正式にはアビシニアコロブスという名前の

アフリカの猿。背中の白く長い毛がまるでマントのように見えました。

 

真ん中のコンドルは怖い印象の動物ですが同時に気高く風格があって。

一番右のコウモリはそのものは不気味ですが

デザインモチーフとしてかなりカッコいい動物。

 

この3つとも上野動物園で取材しましたが

どれもこれも全く人気がなくて

お陰でゆっくり独り占めで取材が出来ました。

 

コロブスは実際には有り得ませんが

中国マフィアを意識して刺青を入れてみました。

鍵で金庫をねじ開けようとしたところを見つかって

サーチライトの中、きん斗雲に乗って逃げようとしているところです。

 

コンドルは奪って来た宝飾品を我慢出来ず身につけ

見つからない様にジッとしているところ…。

また、上のウツボカズラの中にもお宝を隠せる様になっているので

誘い込んで奪うような、ずるさを表現しています。

 

コウモリはコウモリ傘の中に身を隠し

隙があれば目を光らせ次の宝を狙っています。

蜘蛛の巣には奪って来た真珠を通して

枝にはイヤリングをひっかけ保管しています。

ちなみにコウモリは羽根を広げると

中が泥棒の風呂敷の様な模様になっています。

 

と、私の想像する限りの泥棒をエッセンスを詰め込んだのが

このLUPINシリーズです。

 

 

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